【移住実践者が教える】「地方移住×テレワーク」が気になる人のためのポイントと体験談
コロナ禍を経て一気に加速した、テレワークやリモートワークの導入。しかし、感染が落ち着いた今でもリモート環境を整えている企業がある一方で、日本では依然として出勤型のワークスタイルが根強いのも事実です。
今回はコロナ直前で地方移住をし、実際にフリーランスとしてテレワークで仕事をしている筆者が、その経験談を踏まえながら「地方でテレワークすること」についてお伝えします。
この記事を書いた人
福島県南相馬市出身。ローカルエディター。東京の大学を卒業後、成田空港でグランドスタッフとして勤務。2011年の東日本大震災で故郷が被害を受けたことで地方への関心が高まり、「アートと地方」をテーマに活動開始。2019年にパートナーの出身地である須賀川市へJターン移住し、『guesthouse Nafsha』を開業。宿運営をしながら、ライター業やアーティストとの協働など、地域の魅力を見つけ、編集して発信する“ローカルエディター”として活動している。
▶Instagram:@misto_m_momma
▶Blog:『佐藤夫妻のふくしま移住日記』
「地方×テレワーク」のメリット・デメリット
「地方移住×テレワーク」という言葉から、皆さんはどのようなイメージを持つでしょうか?ここからは、私の実感値を含めたメリットとデメリットをご紹介します。
《メリット》
- 静かな環境で仕事ができる
- 外部の物音や騒音が気になる人、あるいは職種柄静かな環境が必要な人には集中しやすい環境が良さと言えます。
- 自然や季節を感じられる
- 都会のような喧騒が少なく自然が多いため、春夏秋冬をより身近に感じられます。青空の下で仕事をすると、オフィスとは違ったアウトプットができるかもしれません。
- 家や部屋が広め
- 都会に比べて同じ家賃でも広い部屋や家が借りれる場合が多いため、家族での移住や広々としたスペースで仕事がしたい人には向いています。
- アウトドア・アクティビティがしやすい
- 釣りやサーフィン、キャンプなど、プライベートでの自然を活かしたアクティビティがしやすいのも魅力のひとつです。
《デメリット》
- 車に関する費用がかかる
- 地方で暮らす時に多くの場合必要となるのが「車」です。購入費に加え、ガソリン代、車検代、保険代などの出費が増えることもしばしば。
- 光熱費が上がる場合も
- 暮らす地域によっては夏のエアコン代、冬の暖房費などがこれまで以上にかかる場合もあります。
- テレワークができる場所が少ない
- 家以外でテレワークをしたい時に、場所探しに苦労することも。都会に比べてテレワークに適したオフィスやカフェが少ない傾向にあります。
- 地方での仕事探しは難しい
- 地方でテレワークでの仕事を得るには、まだまだ時間がかかりそうなのが現状です。地方で新たに仕事を受注するには、入念な準備が必要です。
以上が主に私が地方でテレワークを実践しながら感じていることです。都会と比較したときの不便さなどもありますが、「田舎ならではの静けさ」や「作業場所の広さ」などは、Webライターとして活動する私にとっては、とてもありがたい環境です。
次は「テレワークが向いている人」についてお伝えしましょう。
テレワークに向いてるケースとポイント
実際にテレワークをするにあたって、どんな場合・人が適していて、どんなことに気を付ければいいのでしょうか?これからご紹介する「テレワークに適したケース」と「実践ポイント」は、あくまで私の体験をもとに感じているものですが、ご参考になればうれしいです。
《テレワークに向いているケース》
- 働き方
- 勤めている会社がテレワーク・リモートワークを推奨している
- すでに勤めている会社の環境が整っていれば、収入面の心配も少なく、最も安心してはじめられるケースと言えます。
- すでにフリーランスとして活動している
- フリーランスとしてある程度実績と収入が確保できていれば、環境に左右されることも少なくて済みます。
- 勤めている会社がテレワーク・リモートワークを推奨している
- ライフステージ
- 妊娠・出産・育児・介護などのライフステージの変化がある人
- 妊娠・出産・育児、介護などで、オフィスへの出勤かつフルタイムでの仕事がしにくい期間がある場合には、テレワークでの柔軟な働き方が適しています。
- 妊娠・出産・育児・介護などのライフステージの変化がある人
- 職種
実際に私の周りに多い「地方×テレワーク」の職種は以下の通りです。
・ITエンジニア
・Webライター/デザイナー/エディター
・オンライン秘書
・会計士
・コンサルタント
・データサイエンティスト
《地方×テレワークの注意点・ポイント》
テレワークに慎重になった方がいいと個人的に感じているのは、「移住とテレワークを同時にはじめる」というケースです。「新しい環境で新しい挑戦をしたい!」という人も多いかと思いますが、少なくとも住環境か仕事のどちらかが安定した状態ではじめる方が、リスクを抑えられそうです。
また、地方でフリーランスとして仕事をしていくにあたり重宝されそうなのが、「必要だと分かっているけど手を付けられていない分野」だと感じています。上記に挙げた「職種」の一覧にあるように、DXに役立ちそうなIT系や広報に関するクリエイティブ系の仕事は、地方でのニーズが少しずつ増えているという実感があります。
南相馬市でテレワークを試してみる…?!
福島県の沿岸部に位置する南相馬市。東日本大震災で大きな被害を受けながらも、地域住民や移住者、行政の力によって着実に暮らしやすい土地になってきています。近年では「福島ロボットテストフィールド」という、世界トップレベルのロボット実験環境や実験技術を提供する施設も設けられ、国内外の研究者や技術者も足を運ぶ地域となりました。また、南相馬市小高区を中心に移住して起業される方も増えています。
そんな、新しい可能性が拓けている南相馬市では、移住支援やテレワーク補助も盛んです。
今回はその中からいくつかをご紹介しましょう。
《テレワーク補助金》
福島県外に暮らす人を対象としたテレワーク補助金です。こちらは県による制度ですが、南相馬でもいくつかのコワーキングスペースが対象となっています。
★対象者
- 福島県外在住の雇用者(正規及び非正規は問わない)
- 法人(体験者は県外在住者かつふくしまファンクラブの会員に限る)
- 福島県外在住の個人事業主等
★補助内容
コース | ふくしま“ロング・テレワーク”体験コース【長期コース】 | ふくしま“ショート・テレワーク”体験コース【短期コース】 |
期間 | 1~3ヶ月まで | 2泊3日から5泊6日まで |
対象経費 | コワーキングスペース等でのテレワークや地域交流等を実施するとともに、生活環境を体験する際の費用の一部を補助する。 1, 滞在している間の宿泊費(飲食代は除く) 2, 交通費 3, コワーキングスペース等の施設利用料 *¹ 4, レンタカー代(燃料代、オプション料金は除く) 5, 地域体験活動にかかる費用(『ふくしまお試し移住村」事業の利用者のみ) | |
補助率 | 補助対象経費の3/4 | |
補助上限 | 一人あたり30万円 | 一人あたり1万円/泊 |
*¹南相馬市におけるコワーキングスペースはこちら
《南相馬市おすすめのテレワークスペース》
過去記事では、移住者がおすすめする南相馬市のテレワーク・コワーキングスペースもご紹介しています。
《テレワーク前提の移住検討には「お試し住居」もおすすめ》
本格的な移住をする前の「お試し移住」もおすすめです。南相馬市は移住を考えている人向けに、一定期間の“暮らしの体験”をしてもらうための「お試し住居」の提供をしています。住宅情報を集めつつ、地域での仕事やニーズを探るのにも役立ちそうなこの制度。一回の滞在あたり最大10泊まで(年度内3回まで計30泊まで)が無料で利用できるので、気になる方はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
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移住の最大のポイントとも言える「住宅探し」。慣れない土地での情報集めは時間も労力もかかりますし、何より「信頼できる情報」にアクセスできるかが重要となります。
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