【古き良き日本の食文化】南相馬の冬の風物詩

南相馬には、市内のあちこちに田畑があり、心が和む里山の風景が広がっています。
代々受け継がれる畑で野菜作りをしている家庭も、まだまだ沢山あるんですよ。

自分で育てた野菜を収穫して、調理して食卓で味わう。

素敵な営みですよね。

東北地方にある福島県の南相馬市にも、寒い冬のための保存食文化が根付いています。
ここでは、南相馬の家庭で見られる、食にまつわる冬の風物詩をいくつかご紹介したいと思います。

目次

南相馬の冬の風物詩!美味しい保存食たち

渋い果実がとっても甘くなる不思議!「干し柿」

昔はほとんどの家庭で、食糧用として庭に柿の木をはじめとした果樹を植えていたそうで、南相馬でも、秋になると道路を走っていると、綺麗なオレンジ色にたわわに実る柿をよく見かけます。

ですが、その柿の多くは渋柿。渋柿は、渋みが強くそのままでは食べられません。

皮をむいて熱湯で殺菌し、風通しの良い場所に吊るし干しして2~3週間後には完成!
渋くて食べられなかった柿が、とっても甘い干し柿に。本当に不思議ですよね。

南相馬の農家さんに聞いたお話では、そのままおやつとして食べるだけでなく、和え物や酢の物に入れて料理にも使用するそうです。

大根を使った保存食といえば!「切り干し大根」「割り干し大根」

南相馬では、秋から冬にかけて、大根の栽培が盛んです。
大根は、そのまま料理に使われる他、漬け物や干し大根にすると長持ちするので、冬の保存食として重宝されてきました。
昔はどの家庭でも、冬に向けて干し大根を作るのが当たり前だったと聞きます。

「割り干し大根」は、大根を1本を分割して干したもの。「切り干し大根」は、大根を細かく切って干したもの。

どちらも、料理の際は水でもどして、煮物などに用いられます。

一度乾燥した大根は、旨味があり、更に煮汁をたっぷり吸うので、味わいが増してとっても美味しいんですよ。

南相馬は太平洋沿岸部に位置するため、冬は雪はほとんど降らず、晴れの日が多いです。


その代わり、山から吹き下ろす空っ風が強くなります。

日差しとその空っ風でしっかり乾燥させることが出来るので、南相馬は干し大根作りにはぴったりの環境なんですね。

栄養満点!様々な料理に活躍する「豆」たち

醤油や味噌、豆腐や納豆の原料として、福島県全域において、古くから大豆を中心に豆の栽培も盛んだったそうです。
また、乾燥させた豆は長期保存ができ、そして栄養価が高いので、冬の保存食として昔から重宝されていました。

南相馬でも、大豆を中心に、落花生、あおばた豆、ササゲ豆、小豆、黒豆など、様々な豆が栽培されています。

お正月には、数の子とあおばた豆の浸し豆がおせちの定番として登場!「数の子より豆の割合が多いのが南相馬流」なんてお話も聞いたりします。
豆の煮物や、冬至かぼちゃなど、冬の食卓で活躍しています。

もっと知りたい!南相馬の食文化

昔ながらの古き良き伝統が、今に生きる南相馬。
南相馬の冬の食文化には、寒くて厳しい冬を乗り切るための知恵が生きています。

民家の軒先にぶら下がった干し柿、畑にたなびく干し大根。

そういった懐かしさを感じる昔ながらの風景も、尊い食文化の一つだなと感じます。

今回は「冬の風物詩」をご紹介しましたが、他の季節にも魅力がまだまだあります。
こういった南相馬の食文化や暮らしについても、興味を持ってもらえたら嬉しいです。

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