移住実践者が教える“後悔しない”ための地方移住準備リスト
地方移住への注目度が年々上がり続けている昨今。「田舎暮らしに憧れる」や「子育ては自然豊かな土地でしたい」などと思ったことのある人も多いのではないでしょうか。
ゆったりとした時間の流れや美味しい食材など、確かに地方暮らしには魅力がたくさんあります。しかし一方で、「思っていたのと違う」といった、いわゆる“理想と現実のギャップ”があるのも事実。
今回は移住に興味を持ち始めた方向けに、移住後の「こんなはずじゃなかった」を少しでも減らすための“事前準備のHOW TO”を、移住経験者の目線を交えてお伝えします。
この記事を書いた人
福島県南相馬市出身。ローカルエディター。東京の大学を卒業後、成田空港でグランドスタッフとして勤務。2011年の東日本大震災で故郷が被害を受けたことで地方への関心が高まり、「アートと地方」をテーマに活動開始。2019年にパートナーの出身地である須賀川市へJターン移住し、『guesthouse Nafsha』を開業。宿運営をしながら、ライター業やアーティストとの協働など、地域の魅力を見つけ、編集して発信する“ローカルエディター”として活動している。
地方移住前にするべき4つのステップ
ステップ1:移住先選び
移住を考え始めたときに真っ先にすることといえば、「移住先探し」でしょう。
最近では、どの自治体でも移住者向けの情報発信やサービスが充実してきているので、現地に行かずとも色々な情報を仕入れることができます。
ここでは、移住先探しの主だった3つの方法をご紹介します。
内閣府官房・内閣府総合サイト内の地方移住に特化した情報サイトです。
国の運営するサイトのため、全国の情報がまとめられており、イチから移住先を検討したい方にはおすすめのポータルサイトです。
東京・有楽町に拠点を構え、20年以上にわたり地方移住のサポートを行ってきた非営利のNPO団体です。
全国の自治体とも連携し、都道府県ごとの専門相談員も常駐。無料で移住相談ができるほか、移住フェアなども定期的に行われています。
めぼしい移住先が絞られたら、直接自治体の移住窓口に問い合わせてみるのもおすすめです。最近ではオンライン相談を設けている自治体も多く、現地に足を運ばずとも気軽に相談できるようになっています。
ステップ2:仕事探し
「仕事探し」が一番の難所とも言える地方移住。移住後の暮らしを左右する大事なポイントなので、ここはしっかりと抑えたいものです。
地方での仕事探しの方法について、経験を踏まえながらいくつかご紹介していきます。
移住後の生活は、環境の変化に戸惑うこともあります。特に家族やお子さんとの移住を考える場合には、転職という選択肢が安心かもしれません。テレワークが可能であれば「転職をせずに移住する」というのも、新しい移住のあり方と言えます。
- 転職サイト
- 大手の転職サイトのほか、最近では地方創生の流れを受けてか、若手を中心とした地方のベンチャー企業の求人も増えてきています。
- 各自治体の相談窓口・就職サイト
- 移住促進の流れを受けて、各自治体でも仕事探しのサポートを積極的に行っています。就職・転職用の特設サイトなどを設けている場合もあるので、要チェックです。
- ふるさと支援回帰センター
- ふるさと回帰支援センターでは、仕事探しのサポートも行っています。自治体と連携して仕事の紹介をしてくれる場合もあるので、窓口相談をしながら転職活動をしたい方にはおすすめです。
- 地域おこし協力隊
- 『地域おこし協力隊』とは、都市部から人口減少や高齢化等の進んでいる地域に赴任し、地域活性や課題解決をすることを目的とした取り組みです。仕事を通して地域住民との関わりを持てるので、移住先でのつながりをつくるには適した仕事と言えます。
「起業」も、地方移住後の仕事を考えるうえでひとつの選択肢です。都会とは異なる地方ならではのニーズを捉えたサービスや事業は、今後さらに注目されるでしょう。とは言え、知らない土地でのいきなりの起業はやはり難しいもの。前述の「地域おこし協力隊」には、副業可能な自治体や将来の起業を見据えた募集もあるので、あわせて検討してみるのもありです。
《経験者談:地方の仕事探しは“紹介”がベスト…?! 》
職種にもよりますが、基本的に首都圏と比較して給与水準は低い地域がほとんど。よく「地方は物価が安い」という話を聞きますが、特に物価が安いという実感がないのも正直なところです。また、都心部では当たり前になっているインターネットでの仕事探しも、地方ではまだまだ知人を介した「紹介」による就職が主流。本格的な仕事探しは現地に足を運び、知り合いができてから紹介してもらうというのが、案外早道かもしれません。
ステップ3:物件リサーチ
移住先と仕事ときたら、やはり次は「家探し」ですよね。移住後の暮らしを快適なものにするために、物件選びは間違えられないところです。
地方移住での家探しの方法とポイントを見ていきましょう。
一般的な物件探しの方法ですが、特に大手不動産サイトでは、現地の最新情報を更新しきれていない場合もあります。地方移住の場合には、相場の確認など情報収集程度におさめておくことをおすすめします。
「空き家バンク」という空き家に特化した物件情報サイトも、地方を中心に充実してきています。少子高齢化と人口減少が進んだ地域での「空き家問題」を解決しようというもので、相場よりもかなり安く賃貸・売買される傾向にあります。
条件面や移住後の暮らしなどを含めた総合的な相談をしたい場合には、各自治体の「移住サポート窓口」を利用するのもおすすめです。現地の人にしか分からない最新情報を教えてもらうことで、より確実な物件選びの参考とすることができます。
《経験者談:空き家選びは〇〇がポイント…!?》
都心よりもずっと低価格なのが、地方の空き家の魅力です。しかし価格だけで選んでしまうと、後悔のタネになることもしばしば。筆者の経験則ではありますが、物件の築年数などの基本情報に加えて、1)断熱性、2)ハザードマップ を把握しておくとさらに良いと思います。古い家は総じて断熱されていないことが多く、「夏暑く、冬寒い」という状況になりやすいのが現実。光熱費のランニングコストがかかりがちです。また、災害が増えている昨今、ハザードマップなどと照らし合わせながら被害を受けにくい立地を選ぶことも、今後の家選びの大切なポイントと言えそうです。
さて、ここまでの下調べが十分できたら、実際に移住候補地に足を運んでみましょう!
ステップ4:現地調査/お試し移住
リサーチが済んだら、実際に移住候補地に足を運んでみましょう。可能であれば数日程度滞在して、普段の暮らしぶりのイメージをつかめるとなお良しです。
最近では「お試し移住」として、各自治体が移住を検討している方向けに滞在先を提供している場合もあります。
一般的な「お試し移住」の申し込み手順は以下のとおりです。
《お試し移住の流れ》
- 各自治体の移住サポート窓口へ問い合わせ
- オンラインで滞在の詳細を決定
- 滞在
- このときに仕事や物件の下見もできれば一石二鳥。各種補助金や支援制度についても、ここで相談しておくと良い。
- 帰宅
- アンケートや滞在レポートを提出する場合あり。
《経験者談:現地で築く“つながり”を大切に》
できれば移住を決める前にじっくり地域に関わって、知り合いや相談者をつくっておくことをおすすめします。地方は都会より良くも悪くも「人とのつながり」が生活に直結するところ。ネットにはないリアルな情報は、人づてで得られることの方が多いのです。お試し移住などの制度もうまく利用しながら、暑い時期と寒い時期、最低でも1年程度かけて地方とのつながりを築いておくと安心です。
いま注目の移住先、「南相馬市」
南相馬市は福島県の沿岸部に位置しており、東京から中心部の原町駅へは特急一本でアクセスできます。東北ながら雪も少なく、太平洋に面した明るい気候のため、年中通して過ごしやすいのが特徴です。
2011年の東日本大震災で大きな被害を受けた南相馬市ですが、現在では復興も進み、一部では震災前よりもにぎわいを見せているエリアもあるほどです。近年ではそんな復興の勢いに惹かれた人たちが県外から足を運び、さらに市の手厚いサポートもあいまって、移住先としても注目を集めています。
(南相馬市への交通アクセス:南相馬市公式ウェブサイトより)
ここがすごい!南相馬市に移住する際に受けられるサポート
南相馬市の移住サポートは他地域と比較しても充実しています。特に住宅取得費用や就業に関する支援金、子育てにおいての独自支援が多く、若い世代にも暮らしやすい街づくりを目指していることがうかがえます。
南相馬市に移住する際に受けられるサポートの中から、いくつか特徴的なサポートを抜粋してご紹介しましょう。
1)住む支援
空き家利活用推進事業補助金 | 空き家バンク登録物件の空き家を活用する方に、空き家改修のための補助金上限100万円(補助率1/6)を交付。 |
移住推進住宅支援事業補助金 | 5年以上居住する意思をもって市外から転入した43歳未満の方が、相双地方で就業又は開業し、市内の民間賃貸住宅に入居した場合に月額1万円の家賃補助を交付。 |
2)働く支援
福島県12市町村移住支援金 | 5年以上居住する意思をもって、福島県外から南相馬市へ移住し、就業もしくは起業する方に移住支援金を交付。2人以上世帯最大200万円(東京圏からの移住において18歳未満の子ども1人につき最大100万円加算)、単身世帯最大120万円。 |
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3)子育て支援
保育園(所)・認定こども園・小規模保育施設保育料の無料化 | 市内に住民登録し、市内の保育園(所)・認定こども園・小規模保育施設に在園する乳幼児(0歳児~2歳児)の保育料を無料化。 |
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《チェックポイント:起業を考えるならNCL》
南相馬市では震災後、「起業のまち」としても知られるようになりました。震災で避難を余儀なくされた地域もあり、一度“ゼロ”になってしまった場所だからこそ、新しいスタートを切ることができる。そんな南相馬で可能性を見つけ、新しい道を切り開いていく起業家の卵を受け入れる制度が『Next Commons Lab(NCL)』です。他にはない唯一無二の環境でのチャレンジをしたい方には必見のプログラムです。
地方移住についてもっと知りたい人は、『よりみち』へ。
さらに詳しい情報や窓口での相談をしたい方は、『みなみそうま移住相談窓口 よりみち』へお問い合わせ下さい。「はっきりは決めていないけど、移住先候補として気になる」といった内容から、「具体的な支援内容について教えてほしい」まで、移住実践者のコンシェルジュが丁寧にヒアリングします。オンラインでの相談も可能なので、気になる方は公式ホームページの『予約・お問い合わせ』からお申し込み下さい。