【子育て支援が充実】地方移住の第一歩は情報収集。南相馬市で子育てする私が感じるメリット・デメリット
通勤ラッシュや交通渋滞、高い生活費がかかるうえに、自然へのアクセスは限られる……大人だけの暮らしならまだしも、子どもにとって今の生活環境はベストだろうか。都市部の生活ストレスから家族みんなで解放されたい。そんなふうに考え、地方への移住を検討する方もいるのではないでしょうか?
私は結婚を機に愛知県から南相馬市へ引っ越してきた、蒔田志保と申します。こちらでの出産を経て、現在は夫、息子と3人で暮らしています。こちらでの生活も5年目。ふとした瞬間に目に入る自然に癒されたり、親しい人たちとの時間を楽しんだり、今の暮らしが気に入っています。
穏やかな暮らしの一面がある一方で、地方ならではのリアルな姿や課題も感じています。今回は、南相馬で実際に暮らす私から見た、地方での生活面・住宅面についてのメリット・デメリットなどをお伝えします。
生活面
(写真:道の駅南相馬に隣接する「高見公園」。親子でよく出かけます【筆者提供】)
メリット①通勤・通学やお買い物、遊び場での混雑が少ない
都市部から地方に移住してみると、人の少なさをまず実感すると思います。通勤などで電車に乗る場合も、座れないことはあってもギュウギュウで苦しいなんてことはありません。休日に、例えばスーパーなどに出かけても、レジで大行列に遭遇することも少ないです。ただ、仕事終わりの方が多い、平日夕方17時から18時ごろは混雑することも!それはどこも一緒ですね。
子育てをしている身としては、遊び場の混雑が少ないのが助かります。人がたくさんいて遊べずに子どもがガッカリすることはありませんし、接触によるケガの心配も少なく済んでいます。
メリット②広々とした自然があり、身体を思いきり動かせる
(写真:国指定史跡の浦尻貝塚。「縄文の丘公園」として2023年にリニューアル【筆者提供】)
地方の町には、気候や地形による自然そのものの姿が残っている場所もあります。生活の中で山道を通ったり、川辺を車で走ったり、自然のそばで暮らしていることを実感すると、和やかな気持ちになれます。四季折々の景色を楽しめるのも嬉しいです。
敷地の広い公園では、ピクニックをしたり、ランニングをしたり、休日にはのびのびと身体を動かし、遊ぶ姿も見られます。公園が広いと置かれる遊具も大きくなり、子どもはアスレチックで思いきり身体を動かせるのが楽しそうです。
デメリット:公共交通機関の少なさ
公共交通機関は、都市部と比べると正直頼りないです。街に電車やバスなどの路線が少なく、1本電車を逃せば、次の電車は1時間待ってもこないこともあります。走っているエリアも限定的で、日常の移動は車が基本という方がほとんど。南相馬市の場合、原ノ町駅周辺には車を持たずに暮らす人もいるようですが、ほとんどのエリアで、特に小さなお子さんや高齢の家族がいる場合は、車は必須アイテムになるかと思います。
とはいえ、電車やバスが充実している都市部では車を運転する機会も少ないかもしれませんね。免許はもっているけど、運転は不安という方もいるかと思います。南相馬市では、ペーパードライバー講習受講料を助成しているので、必要の際はぜひご活用ください。
南相馬の道路は広くまっすぐな道が多いので、初心者ドライバーにやさしい環境。私は免許を取り立ての状態で南相馬に来ましたが、地元の愛知での運転に比べて安心して運転することができました!
南相馬市は、鹿島町、原町市、小高町という、もともとは異なる3つの市町村が合併し、誕生しました。そのため、電車の本数や学校の数、飲食店のバリエーションなど各地域で生活環境が異なります。自分の希望するライフスタイルに合わせて、エリアを選ぶことが大切です。
住宅面
メリット①都市部に比べると家賃が安い
都市部に比べると、家賃は安い傾向にあります。例えば、東京都心部の人気エリアで2LDKのアパートを借りる場合、月額家賃は平均で15万円以上になることが一般的です。しかし、南相馬市では同じような広さや設備を持つアパートでも、月額家賃は10万円未満で見つかることも珍しくありません。
東京に住んでいた知人は、南相馬に来てから家賃は2万円ほど安くなったうえに、東京で暮らしていたワンルームの3倍近く広い家に住めるようになったといいます。のびのびとした生活を楽しんでいるようです。
メリット②住宅確保のための補助制度がある
移住者が活用できる住宅補助金を用意している地域が増えています。家賃補助のほか、住宅の購入費や空き家の改修費用や家財処分費など、さまざまな側面で利用できるケースがあり、移住する際には上手に活用したいところです。子どもの数や世帯数など、条件によって金額が加算されることもあるので、活用の際は各自治体の担当部署に問い合わせるのがよいでしょう。
▶南相馬市の住宅に関する支援について、詳しくはこちらをご覧ください
デメリット:空き家に住む場合は想定外の費用がかかる場合も
地方都市には、空き家も多くあり、都会にはなかなかない広い物件が格安で販売されているケースもあります。格安で販売されているからといって、すぐに飛びつくのは注意が必要です。築年数が長く、建物が痛んでいるケースもあり、実際に住もうと思うと、当初の想定以上に費用がかかってしまう場合があります。購入前に専門家の意見ももらいながら、注意深く検討することが大切です。南相馬市には、空き家と住まいの相談窓口ミライエという窓口があり、空き家を活用した地方暮らしを考えている人は活用してみることをおすすめします。
南相馬市の子育て世帯への支援制度・子育て環境
無料で楽しめる屋内遊び場の充実
(写真:小高区にある屋内遊び場「NIKOパーク」。大型アスレチックが充実【筆者提供】)
南相馬市内は、屋内遊び場が複数あります。鹿島区、原町区、小高区それぞれに遊び場があり、休日には市外からも遊びにくる親子がいるスポットも。小高区にある「NIKOパーク」は、大型のアスレチックがあり人気です。幼児向けエリアと小学生以上向けエリアに分かれており、常駐するスタッフさんが子どもと一緒に遊んでくれるのも親としては嬉しいポイント。最近、神奈川県から引っ越してきた知人は「これだけおもちゃやアスレチックが充実しているのに、無料なんて信じられない!」と驚いていました。
また、南相馬市立中央図書館もおすすめです。絵本だけでなく、おもちゃやぬいぐるみの貸出があったり、読み聞かせイベントが開催されていたり、親子で楽しい時間を過ごせます。司書のみなさんもとても親切で、一緒に本を探したり、遊んでくれたりしてくれます。児童書のゾーンは分かれているので、周りに気を使いすぎず過ごせるのもありがたいです。図書館は駅前にあるので、車がなくてもアクセスしやすいですよ。移住検討の際に立ち寄りやすいこともあり、訪問者の利用も多く、この図書館が移住の決め手になった方もいるんだとか!ぜひ一度訪ねてみてほしいスポットです。
(写真:中央図書館の児童書コーナー。図書館は、小高区、鹿島区それぞれに分館も【筆者提供】)
幼児教育・保育の無償化
南相馬市では、0歳から満5歳までの保育料の無料化を実施しています。国の補償対象は満3歳の子どもからが対象ですが、安心して子育てできるようにと始まりました。公立幼稚園・保育園・認定こども園の給食費も無料となります。働いたお金が保育料になるのは切ないですよね。この制度のおかげで、休日に家族で出かけたり、いろんな体験をするのにお金を使うことができています。
▶幼児教育・保育の無償化について詳しくはこちらをご覧ください。
新成人にエールを送る「巣立ち応援18歳祝い金支給事業」
2022年度に始まった「巣立ち応援18歳祝い金支給事業」は、18歳を迎える市民を対象に祝い金5万円を支給する南相馬市独自の支援制度です。同内容の制度は東北初。このプロジェクトに合わせてつくられたポスターも素敵で、エールを送るみなさんの言葉にもグッときます。
▶南相馬市の子育てに関する情報はポータルサイトでご覧いただけます
移住前の情報収集がしっかりできていると、その後の暮らしもスムーズに、そして楽しくスタートできるはず。気になる点があれば、納得のいくまでとことん調べましょう!
地方移住や子育てについてさらに話を聞きたい方は移住相談へ!
ここまでご覧頂きありがとうございました。WEBの情報だけでなく「もっと詳しい情報知りたい!」という方もいらっしゃると思います。
みなみそうま移住相談窓口よりみちでは、実際に南相馬に移住したコンシェルジュが、移住にまつわる様々なご相談を受け付けております。
実際に現地で子育てをしているメンバーもいますので、より詳しい話が聞いてみたいという方は、移住相談をぜひご活用ください!
この記事を書いた人
記録家、ライター。
愛知県出身。2018年、結婚を機に南相馬市へ移住。
小高区にあるカフェに移住後から勤務。出産後はライターとして、インタビュー記事やイベントレポートなどの執筆・撮影を担当。2024年に記録家として、風土や人々の暮らし、出来事などを記録する活動をスタート。
趣味は、図書館めぐり。