相馬野馬追リアル体験記!見どころや出陣体験まで詳しくレポート

福島県相双地域で1,000年以上もの間続く祭事「相馬野馬追」は、約400騎の騎馬武者達が一堂に集う祭典です。
夏の風物詩とされてきた野馬追ですが、2024年からは猛暑を避けるため毎年5月の最終土・日・月に開催されるようになりました。
さらに、2025年からは女性に対する参加条件の見直しなど、文化をつないでいくために祭事の姿も変遷を重ねています。
この記事では2023年~2025年の相馬野馬追について、南相馬市へ移住し現在は相馬野馬追に家族で参加しているよりみちライターの私が、リアルな体験談もふまえ紹介します!
地元で愛される伝統行事の様子をぜひ感じてみてください。
公式スケジュールや情報については、こちらの記事も併せてご覧ください。

【体験記】相馬野馬追の世界へ
【1日目・お繰り出し・宵乗り】いざ、出陣。各郷から雲雀ヶ原祭場地へ
野馬追初日。朝6時ごろ、町の中ではパンッ、パンッと花火があがる音が響きます。今日は野馬追。毎年この合図で目を覚まします。
といっても、出陣する騎馬武者たちは、馬の世話と自分の身支度のため、ずっと朝早くから準備をしています。家族も、朝からおにぎりをにぎったりと、3日間は大忙しです。


雲雀ヶ原祭場地から遠い場所ほど、早い時間に出陣します。各神社で出陣式が執り行われたのち、騎馬武者たちは町なかを行列で出発します。

お昼過ぎ、13:00ごろ、全ての郷から騎馬武者たちが祭場地に集まりました。
門をくぐるときには口上を述べますが、その声色や言葉から感じる力に、見ているこちらが圧倒されてしまいます。

14:00になると、「宵乗り(よいのり)競馬」がスタート。
陣羽織を羽織った騎馬武者たちが颯爽と駆けていきます。
宵乗り競馬は、翌日行われる「甲冑競馬」の前哨戦と位置づけられますが、宵乗り競馬だけでも
「騎馬武者たち、カッコいい…!」
と気持ちが高まります。
宵乗り競馬が終われば、雲雀ヶ原祭場地での催しは終了。
夕方になると、「宵乗り軍者(ぐんじゃ)会 」が原町区にある旭公園で開かれていました。
軍者というのは、いわば役職。
野馬追に長年出陣しているみなさんが集まり、今年の、あるいはこれまでの野馬追について盃(ビール)を交わしながら話をする場です。
その傍らでは、毎年夏祭りが開かれており、浴衣や法被姿の子どもたちも楽しげに集まってきます。
1日目は、これにて終了です。
【2日目・野馬追】戦国絵図を広げたような風景に出合える「お行列」
2日目は、全騎馬武者たちが雲雀ヶ原祭場地へお行列で集まるところから始まります。

各郷の騎馬武者達が進軍する様子を一目見ようと、沿道にはたくさんの見物客が待ち構えています。
パカパカという馬の足音と、馬の声、螺役の法螺貝、それから騎馬武者たちの口上。
野馬追の風景をつくる一つひとつが重なりあい、いつもの風景が戦国時代の一コマのように様変わりします。
最年少4歳の武者・女性武者・何十年も参加しているベテラン武者・力溢れる若き武者。
出場する人々にはさまざまな物語があります。
2025年には、女性の出場について「未婚の20歳未満」という条件が撤廃。このときを待っていたと、宿願を成就させた女性騎馬もいらっしゃいました。

騎馬武者たちが馬と駆ける姿は圧巻!甲冑競馬と神旗争奪戦
2日目のハイライトは、相馬野馬追でもメイン行事と言われている「甲冑競馬」と「神旗争奪戦」です。
迫力があり、会場にいるみんなが注目し、騎馬武者たちの活躍が会場を湧かせます。

ヨーイドンの合図はなく、馬の隊列が整ったら開始。
旗がなびくバサバサという音、舞い上がる砂埃、すごい速さで走る馬、そして乗りこなす騎馬武者たちの気迫……
何度見ても、思わず目が奪われます。
甲冑競馬のあとに行われるのは、「神旗争奪戦」。
打ち上げられた花火の中に入った各神社の名前の入ったご神旗を、馬に乗ったまま鞭で取り合います。

青空に高く打ち上がった花火を見上げ、ひらひらと舞い落ちるご神旗。
風の流れを読み、騎馬武者たちが落ちるところをめがけてぎゅっと集まっていきます。
ご神旗を取り合うなかで、罵声が飛び交ったり、落馬する騎馬武者が出たり。果敢な姿に声援を送りながらも、怪我をしないか、人も馬も無事で行事を終えられるかと、家族としてはハラハラです。
それでも、ご神旗を手にした武者は本当にカッコいい。
観客からの拍手が湧きあがる中、御神旗を掲げ、総大将のもとへ堂々と本陣を駆け上がっていきます。
家族が出陣しているからこそ、その姿を間近で見たことはないのですが、眩しい表情・気迫が溢れ出ていると遠目に見ても感じます。

それぞれの郷への帰り馬行列と小高区「火の祭」
甲冑競馬や神旗争奪戦で活躍を見せた騎馬武者たちは、褒美をもってそれぞれの郷へ帰っていきます。
小高郷の場合は16:00ごろ、住民たちが出迎えるなか、騎馬武者たちが帰還報告をします。
これが「帰り馬行列」です。
小高郷の帰り馬行列では、一人ではまだ馬に乗れない小さな騎馬武者たちが、家族に抱っこされながら200mほどを行列する姿も見られます。
一人では出陣せずとも、しっかりと陣羽織を着て、馬に乗る姿は立派な騎馬武者。
しかし、可愛らしさもあり、周囲からの声もワントーン高くなります。

19:00から始まるのが「火の祭」です。
昔、お神輿や騎馬行列が雲雀ヶ原祭場地から帰る頃、住民が沿道に提灯や松明をかざして慰労の意を示したそうです。
そのことをヒントに、祭り気分を一層盛り上げようと明治時代に考案されたのが「火の祭」でした。
当時は小高神社から見渡せる丘陵や田のあぜ道に、灯油をいれたほっき貝を棒にぶら下げて並べ、行列が小高神社へ到着するのを合図に数百発の爆竹や花火を打ち上げました。
令和の現代でも、火の玉がまちに揺れる様子をみることができます。
打ち上げ花火は30分ほど打ち上げられ、大きな花火を毎年たくさんの人が見上げています。
【3日目・野馬懸】迫力だけではない。唯一の神事「野馬懸」
3日目は、小高神社にて「野馬懸」が行われます。
野馬懸とは、絵馬の起源とされる“生きた馬の奉納”を今に伝える神事です。
時代の移ろいとともに、形や役割を変えながら続いてきた野馬追行事もありますが、神事である野馬懸は昔ながらの姿を残しています。
式典が始まると、騎馬たちは野馬追い込みのために坂を下り、一度神社の外へ出ます。
その後、境内で見られるのは「相馬流れ山踊り」。
陣笠や陣羽織を身に着け、扇や柄杓を持って、相馬野馬追で見られる所作や雰囲気を表現した郷土芸能です。

踊り奉納が終わると、野馬がいよいよ境内へやってきます。
境内へ向かう坂を野馬と騎馬武者が駆けてくる様子は見ていてこちらが高揚するようなドキドキ感があり、現地ではぜひ、音や風にも注目してみてほしいです。

その後、選ばれし御小人と呼ばれる人達が、白い衣装に身を包み、素手で野馬を捕まえ神に奉納します。
逃げ回る馬。捕まえるために全力で果敢に捕まえにいく御小人。素手で捕まえるというのは迫力があります。
逃げ回る馬にぶら下がり、地面に叩きつけられながらも懸命に馬を追う姿は途中思わず声を上げてしまいます。
無事捕らえ、総大将に報告する姿に拍手が湧き上がりました。
相馬地方を治めた歴代の殿様たちは、野馬懸で神馬を奉納するとき、世の中の平和、領内が穏やかで繁栄すること、そして領民たちが幸せであることが殿様の祈願だったと記録されているそうです。
その願いを神前に届けるため、毎年野馬追を行い、追った野馬を神馬として奉納していると言われています。

式典後に行われる小さな「神旗争奪戦」
野馬懸の後祭として、小高神社では「神旗争奪戦」が行われました。
2日目に雲雀ヶ原祭場地で行われたものより規模はずっと小さくなるものの、ルールは同じ。ただ、御神旗を手にした子どもたちが多く見られる点は特別です。
これは、御神旗を手にすることで、出陣の喜びを知ってほしいと大人たちが願い、子ども騎馬に自分が取った御神旗を手渡しているためです。
こうした積み重ねによって紡がれてきた伝統が確かにあり、今後も継承していきたいと願う人々がいるのです。
知っておくともっと面白い!相馬野馬追の楽しみ方
相馬野馬追には、さまざまなルールやしきたりがあります。
観覧した感想をもとに、より楽しむためのポイントをピックアップしてみました。
総大将がわからない!?

「相馬野馬追祭りに行ったら、相馬藩のお殿様を見る」と意気込んでいるも、たくさんの武者達がいると総大将を見失うことも。
そんな時は、旗を探しましょう。
総大将纏は、黒地に朱色に似た緋色で丸が描かれている大きな旗です。 総大将がいる処には必ずこの旗があります。
「旗を見つけたけどわからない」という場合は、写真のような、緋色の丸い布の母衣【ほろ】を背負っているのが総大将です。
推しの騎馬武者を見失ってしまう
推しの武者がいたら、ぜひ背中に背負っている旗を覚えておくことをおすすめします。
神旗争奪戦など、数百騎も集まると見分けがつきません。
旗を覚えておくと、推しの武者を見つけやすいです!
いろんな旗があるので写真に収めておくと、なお確実です。
ぜひ、旗の柄も楽しみながら観戦してみてくださいね。

厳格なルール「役付」

相馬野馬追には厳格なルールやしきたりがいくつもあります。その一つが役付です。
騎馬武者の左肩に付けている名前などが書いてある布を肩印と言い、役付によって、布の地色が変わります。
黄→軍師・副軍師・軍者・勘定奉行など
青→御先乗
赤→螺役
紫→絹地に名前「白」染抜 功労者
ぜひ、チェックしてみてくださいね。
相馬野馬追の体験記・感想まとめ
家族で野馬追に出るということ

義父が出陣を初めて、30年以上。
結婚をしてから、相馬野馬追は家族の一大行事として毎年挑むような気持ちで参加しています。
出陣する義父だけでなく、その準備を手伝う夫、食事や祭り中のイレギュラーな家事に奮闘するお義母さん。
みんなが一丸となって、野馬追ばかりになる3日間です。
息子は1歳になった頃から、抱っこちゃんで野馬追に参加しています。当日はカメラを片手に、家族やチームのみんなの写真を撮るのが私の役目です。
写真を見返す中で、本当にたくさんの方が関わり合って成り立っているお祭りだなと感じています。
わが家は馬を飼っていないため、地元の厩舎から馬を借り、そのチームと一緒にここ数年は出陣しています。
準備も、お昼ご飯も、夜の祭りも一緒です。そのなかで関係性が育まれ、毎年の出会いがあり、同じ風景には二度と出会えない。
2026年はどんな風景に出会えるかなと、今から楽しみにしています。
伝統・歴史が残る南相馬をもっと知ってみませんか
相馬野馬追の体験レポート、いかがだったでしょうか。
興味が湧いたら、ぜひ一度現地に足を運び、息をのむ迫力と大切に繋がれてきた想いを実際に感じてみてください。
南相馬は伝統も大切にしながら、暮らしやすさも叶うまちです。
よりみちでは、気軽に地方体験ができるイベントや、移住相談・サポートなども実施しています。ぜひ気軽に南相馬に足を運んでみてください。
公式スケジュール・アクセス・宿泊などの情報はこちらの記事もご覧ください。









