【体験記】相馬野馬追の世界を覗いてみた。

2023年夏真っ盛りの7月下旬、初めて相馬野馬追を観覧してきました!

相馬野馬追とは、福島県相双地域で一千年以上もの間続く神事で、甲冑に身を固めた約400騎の騎馬武者達が一同に集います。

2023年の出場騎馬数は361騎、3日間の観客数は約12万1400人。
侍の伝統を受け継ぐ、とても勇ましく迫力のあるお祭りは東北の夏を代表する祭事の一つです。

前夜祭の盆踊り、本祭りのお行列・甲冑競馬・神旗争奪戦、そして最終日の野馬懸を観覧してきましたので、体験記をお届けします。

目次

2023年相馬野馬追スケジュール

DAY
7月29日(土)出陣

・出陣
・宵乗り
・盆踊り など

DAY
7月30日(日)本祭り

・お行列
・甲冑競馬
・神旗争奪戦
・火の祭 など

DAY
7月31日(月)野馬懸

・野馬の追い込み
・御神馬の献納  など

【体験記】相馬野馬追の世界を覗いてみました。

まちの人も楽しむ!盆踊り

移住相談窓口よりみちは、前夜祭の盆踊りパレードに出場しました!

前日からYouTube動画を見ながら練習に励み、原ノ町駅前通りを約600mを、30分程かけて盆踊りしながら歩きました。

私たちも含め今年は18団体が出場。

沿道からの声援や、飛び入り参加してくれる方もいて、まちの皆さんとの関わりができて嬉しかったです!

途中のゲリラ豪雨に負けることなく、無事に踊り切りました。

盆踊り会場には、屋台も出ており、鳴り響く音頭や屋台の賑やかな雰囲気に、大人も子どももお祭りを楽しんでいました。

いつもの道路が一変!圧巻のお行列

2日目の朝9時過ぎ、まずはお行列を観覧しにまち中へ向かいました。

各郷の騎馬武者達が、順番に街中を歩き、雲雀ヶ原祭場地へ進軍。その様子を一目見ようと沿道にはたくさんの見物客が待ち構えています。

パカパカという馬の足音と、馬の声、都心の生活をしている中では決して聞こえてこない音にワクワクが止まりません。

螺役の法螺貝が鳴り響き、騎馬武者達が歩いてくると沿道からは拍手や応援の声が。

時々聞こえる武者の口上に気持ちが高まります。

最年少4歳の武者・女性武者・何十年も参加しているベテラン武者・力溢れる若き武者、みんな一人ひとり物語があって、今この場にいるのかと思うと、想像しただけで鳥肌が立ちました。

ちなみに相馬野馬追には、女性の出場は未婚の20歳未満という条件があるそうです。

新しく挑戦し出場する人、継承していく人、いろんな人たちが混ざり合っています。

観覧し始めて間もなく、一人ひとりの物語を想像して感動していました。

想像以上の大迫力!甲冑競馬

お行列を見終えた後は、雲雀ヶ原祭場地へ。

相馬野馬追でも迫力のあるメイン行事と言われている、甲冑競馬と神旗争奪戦を観覧します。

雲雀ヶ原祭場地へ入るためには有料のチケットが必要です。
例年前売り券も販売されていますので、チェックしておきましょう!

甲冑競馬は、文字通り甲冑を着た選ばれし武者達が、雲雀ヶ原祭場地1周1000メートル速さを競います。

ヨーイドンの合図はなく、馬の隊列が整ったら開始。

近くで見る甲冑競馬の迫力はすさまじいものでした。

旗がなびくバサバサという音、舞い上がる砂埃、すごい速さで走る馬、そして乗りこなす武者達、初めて見る光景に、鳥肌が立ちました。

旗の柄の部分のしなり具合からも、すさまじいスピードだということがお分かりいただけるかと思います。

旗がないと失格というルールもあるそうで、旗を背負い守りながら走る武者の強い思いも感じました。

要所要所で審判の檄を飛ばす様子も見所です。

波乱が起こる!?神旗争奪戦

相馬野馬追のメイン行事の一つでもある「神旗争奪戦」。

打ち上げられた花火の中に入った各神社の名前の入ったご神旗を、馬に乗ったまま鞭で取り合います。

馬に乗るだけでも充分すごいことですが、更に打ち上げられた花火を追いかけ、馬に乗ったまま鞭で取り合うとは、至難の業です。

高く打ち上がった花火、そこからひらひらと舞い落ちるご神旗の風の流れを読み、落ちるところへ移動しながらご神旗を争奪します。

ご神旗を手にした武者は、総大将へ報告。

取った御神旗を掲げ、堂々と本陣をかけ上げる姿がかっこいい!観客からは拍手が湧き上がります。

時代劇を見ているかのような、令和の時代ということも忘れそうな雰囲気に酔いしれました。

ご神旗を取り合い罵声が飛び交ったり、落馬し救助される方がいたり、放馬しすごい勢いで走り回る馬も。

普段の生活で見ることのない光景にドキドキ・ハラハラしました。

ご神旗を取り合い罵声が飛び合う場面もありましたが、取ったご神旗を一緒に分け合い、2騎で総大将に報告しにいく姿も見られました。

迫力だけではない。唯一の神事「野馬懸」

3日目は、野馬追の始まりであり、唯一の神事である野馬懸が小高神社にて行われます。

私たちが願いを込めて納める絵馬の原型は“生きた馬を奉納すること”。
こちらの野馬懸は絵馬の原型ともなったと言われています。

選ばれし御小人と呼ばれる人達が、白い衣装に身を包み、素手で野馬を捕まえ神に奉納します。

逃げ回る馬。捕まえるために全力で果敢に捕まえにいく御小人。素手で捕まえるというのは迫力があります。逃げ回る馬にぶら下がり、地面に叩きつけられながらも懸命に馬を追う姿は途中思わず声を上げてしまいます。

無事捕らえ、総大将に報告する姿に拍手が湧き上がりました。

その後は捕らえた馬を神前に奉納する上げ野馬神事。

馬を奉納し、相双地域の繁栄と安寧を願う「上げ野馬」こそ、野馬追が受け継がれる大きな理由の一つです。

相馬地方を治めた歴代の殿様たちは、野馬懸で神馬を奉納するとき、世の中の平和、領内が穏やかで繁栄すること、そしては領民たちが幸せであることが殿様の祈願だったと記録されているそうです。

その願いを神前に届けるため、毎年野馬追を行い、追った野馬を神馬として奉納していると言われています。

知ると面白い・野馬追ルール

相馬野馬追には様々なルールやしきたりがあります。
観覧した感想をもとに、より楽しむために知っておくとおもしろいことをご紹介します。


総大将がわからない!?

「相馬野馬追祭りに行ったら、相馬藩のお殿様を見る」と意気込んでいるも、たくさんの武者達がいると総大将を見失うことも。
そんな時は、旗を探しましょう。

総大将纏は、黒地に朱色に似た緋色で丸が描かれている大きな旗です。 総大将がいる処には必ずこの旗があります。

「旗を見つけたけどわからない」という場合は、写真のような、緋色の丸い布を母衣【ほろ】を背負っているのが総大将です。

推しの騎馬武者を見失ってしまう

推しの武者がいたら、ぜひ背中に背負っている旗を覚えておくことをおすすめします。

神旗争奪戦など、数百騎も集まると見分けがつきません・・・!

旗を覚えておくと、推しの武者を見つけやすいです!

いろんな旗があるので写真に収めておくと、なお確実です。

ぜひ、旗の柄も楽しみながら観戦してみてくださいね。

厳格なルール「役付」

相馬野馬追には厳格なルールやしきたりがいくつもあります。その一つが役付です。

騎馬武者の左肩に付けている名前などが書いてある布を肩印と言い、役付によって、布の地色が変わります。

黄→軍師・副軍師・軍者・勘定奉行など
青→御先乗
赤→螺役
紫→絹地に名前「白」染抜 功労者

ぜひ、チェックしてみてくださいね。

おすすめ情報

交通編:臨時特急列車「相馬野馬追号」

2023年は東京から特別列車が運行されていました。

東京を早朝に出発し、お行列に間に合うようにダイヤが組まれています。

帰りも、メイン行事である神旗争奪戦を見終えてすぐに、東京に帰る電車が運行していました。

臨時便が運行されることもあるので、ぜひ訪れる際にはチェックしてみてください。

宿泊される方は、早めの予約がおすすめです。

原ノ町駅から、雲雀ヶ原祭場地までは臨時バスが出ていますので、こちらを利用すると便利です。
お車でお越しの方は、当日交通規制もありますので、事前に調べておきましょう!

グルメ編:野馬追会場で食べた「野馬土手咖哩」

「野馬追の会場で何か食べる物はあるの?」という疑問に、おすすめのカレーをご紹介します。

雲雀ヶ原祭場地の入り口で、ひときわ目立つ黄色のキッチンカーが目印。
南相馬市の豊福ファームさんが作っている「野馬土手咖哩」です。

南相馬市のお米を使い、福島県産牛、浜通り産のタマネギを使用しています。

なんといっても特徴は、南相馬市産のタマネギがまるごとのっていること!

煮込んだタマネギがとっても甘く、スパイシーなカレーとの相乗効果で暑い日にも食欲が進む逸品。

野馬追を観戦し、野馬土手に座りながら、暑い中食べる「野馬土手咖哩」は、とっても美味しかったです。

ぜひ、見かけたら食べてみてくださいね。


その他、雲雀ヶ原祭場地には、かき氷や野馬追グッズとしてTシャツや手ぬぐいも種類豊富に販売していました。
ぜひ、記念に購入してみてはいかがでしょうか?

ちなみに、お行列観覧の際は、出店が少なく騎馬武者が通る道が横切れません。
水分等は持参していくことがおすすめです。

相馬野馬追体験記・まとめ

相馬野馬追を初めて体験。

普段聞き慣れない音や、言葉遣い、そして想像を超えた馬のスピード、乗りこなす武者の気迫、実際に行ったからこそ体感できる貴重な機会でした。

炎天下の下、観客として座っているだけでも汗だくになるほどの天候。

そんな中、甲冑を着て出場されている方たちの気持ちに相馬野馬追に対する、並々ならぬ想いを感じました。

馬を飼い大切に育て、乗馬の練習をし、甲冑や旗の手入れをし野馬追に挑む、そしてそれを支える家族。

先祖伝来の旗や、甲冑を身につけ、野馬追に出場するということは大変名誉なこと。受け継ぐ人がいてこそ成り立つものです。

そして、迫力のある勇敢なお祭りというだけではなく、最終日の野馬懸け込められた”地域の繁栄と安寧への祈り・願い”があるからこそ、相双地区の皆さんに大切に受け継がれている行事だということを学びました。

野馬追当日は、馬の水を準備したり、馬の落とし物の掃除、各会場の整備など、見えないところでもたくさんの方の力で、私たちも楽しめているんだということを忘れてはなりません。

相馬野馬追には詳しく知れる博物館「南相馬市博物館」もあります。
歴史や文化など調べてから行くと行くとより一層おもしろく感じますので、ぜひ足を運んでみてください。
よかったら、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。

今年は観覧中もとても暑かったですが、近年の酷暑により、開催時期の変更も検討されているようです。
涼しい時期になると、より行きやすくなりますので、楽しみですね。

2024年の相馬野馬追に向けて、もう地域の皆さんは動いています。

日本に伝わるお祭りで、こんなにも馬が集まり、そして甲冑を着た武者が集まるお祭りはありません!
ぜひ、唯一無二のお祭り「相馬野馬追」を観覧しに、南相馬を訪れてみてくださいね。

記事をシェアする
  • URLをコピーしました!
目次